Up coming
山中智郎 個展
「ネバーダイ・ネバールーズ・ネバーブロークアゲイン」

会期:2025年12月5日(金)〜12月24日(水)
オープニング:12月5日(金)17:00ー19:00
販売方法:
初日より、会場での販売とご希望の方へ作品リストをお送りいたします。
「古くから仏画は時代ごとに異なる役目を担いました。来迎と極楽往生への希求、息災延命・病魔退散、五穀豊穣や国家鎮護、戦勝祈願、祖霊の供養や守護——祈りの具体的な対象と効能が仏の像や絵に託されてきました。
では、この時代においてはどんな意味を見出せるだろうか?
私は宮崎県小林市須木という過疎地域の出身で、市町村併合による「村」という単位の死、文化の死を目の当たりにしてきました。
今回の展覧会を『ネバーダイ・ネバールーズ・ネバーブロークアゲイン』と題したのは、死や老い、淘汰への恐怖、敗北や挑戦そのものへの怯えに直面し、それでも「負けない/折れない/立ち上がり続ける」意志を呼び覚ますためです。
概念としての『死』を征伐する大威徳明王、三世の煩悩を断つ降三世明王、そして不動の心を象徴する不動明王の姿を借り、自分自身の意志と対峙させました。
私は宗教という構造を俯瞰して見ています。人は実体のない像を想像し、共有し、文化と規範を形づくる。芸術家はその虚構へあえて飛び込み、命を吹き込むことを引き受ける存在です。
信仰行為としてだけではなく、意志そのものを仏や神の姿を借りて可視化することを試みます。一般的な信仰から来ている仏画との違いを示すために、本作末尾に「Pseudo(擬似)」と付けました。
瞑想には「pseudo nirvana(偽涅槃)」と呼ばれる、悟りと錯覚されうる恍惚の段階があります。たとえ現在地が「偽」であったとしても、その都度の境地を絵として描き留めることが私の使命だと思っています。
神の不在が語られる時代に、なお仏画を描く理由。 自己を探求し、自分の中に見出した僅かな神性に焦点を当て、それを自分だけでなく他者も寄り添える「意志の拠り所」として可視化することにあります。」(山中智郎)
山中智郎は、人が生まれながらに抱える欲求や衝動に向きあい、その葛藤の先にある力強さや美しさを可視化しようと努めています。人々が信仰し文化と規範の礎としてきた仏教の神仏を基盤に、現代的な漫画・アニメの表現技法を駆使し、現代ならではの新たな意味を託して再臨させます。
この機会に是非ご高覧ください。
